日本の国際平和協力を考える研究会(略称:平和協力研究会)
1992年、大論争の果てに実現した初めてのPKO派遣(カンボジア)から20余年。日本を取り巻く国際環境も激変する中、自衛隊を中心とした国際平和協力は、日本の国際社会への関与の中で、今やなくてはならない活動の一つとなっている。
これまでを振り返ってみると、かつては考えられなかった大きな変化が次々と生じてきた。たとえば、最近の平和安全保障法制には「駆けつけ警護」が盛り込まれ、武器使用が許される範囲が格段に広がった一方、ODAとPKOに派遣中の自衛隊が密接に連携する場面(オールジャパン連携)も急速に増えるなど、以前では考えられなかったほど、日本の国際平和協力の水平は広がっている。
他方、1992年当時に盛り込まれた制約(いわゆる「PKO参加五原則」など)がいまだに大きな影響力を持ち、日本の国際平和協力を大きな制約している面もある。
日本の対外関与の大きな転換となったカンボジアでの初のPKO参加(1992年)から、一体なにが変わり、今はなにが日本の「国際平和協力」の枠組みで実行可能になったのか。いまだに残る制約はなにか。これからの展望は、どのようなものか。以上の疑問を研究者と実務家の対話を通じて整理しながら、これからの日本の国際平和協力のあり方をざっくばらんに考えていく。
設立趣旨
上杉 勇司
早稲田大学教授、特定非営利活動法人沖縄平和協力センター副理事長、広島平和構築人材育成センター 理事。防衛省統合幕僚学校国際平和協力センター/統合高級課程や防衛研究所一般課程の講師として防衛省・自衛隊の教育にもかかわる。ミンダナオ和平においては、独立警察委員会の日本政府派遣専門家を務めた。著書に『変わりゆく国連PKOと紛争解決』(明石書店、2004年)、『紛争解決学入門』(共著、大学教育出版、2016年)などがある。
藤重 博美
法政大学准教授。「安全保障」と「開発」の接点に焦点を当て、平和構築・国家再建、自衛隊や警察の役割を研究。著作に「国連警察の役割 と『法の支配』」『国連研究』(第14号、2013年)、『平和構築における治安部門改革』(共編著、国際書院、2012年)、『アフリカの紛争解決と平和構築』(共著、昭和堂、2010年、国家建設における民軍関係』(共編著、国際書院、2008年)などがある。
本多 倫彬
キヤノングローバル戦略研究所研究員、東洋英和女学院大学非常勤講師。『平和構築と自衛隊―国際平和協力の実相と日本流支援の形成』で博士学位取得。著作に「イラク人道復興支援と国連PKOへの自衛隊派遣」『国際安全保障』(第42号第3号、 2014年)、「軍隊の新しい主任務」『「新しい戦争」とは何か』(共著、ミネルヴァ 書房、2016年)などがある。