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第1回研究会では、研究会の趣旨と方向性について参加者が意見を持ち寄った。

「日本の国際平和協力」を中心的なテーマに、新しい自衛隊の活用法や緊急事態に備えた予防のためのシミレーションなどを実施てはどうかといった意見が出された。

さらには、研究者と実務家の対話・交流の場としての本研究会を位置づけるべきだとする意見も出された。(詳細については、次の議論の要旨を参照)


また、第1回研究会では、成蹊大学の墓田桂先生より、先日発刊されたご著書、『難民問題 ―イスラム圏の動揺、EUの苦悩、日本の課題』 (中公新書)を解説していただいた。

現代の難民問題を包括的に論じるための視点を提示していただいた。

第1回研究会

日程:9月30日(金)19:00-21:00

場所:JICA研究所202AB

テーマ:幹事による研究会の趣旨説明と意見交換

【幹事上杉より議題提起】

1.研究会名を含め、どういう研究を進めて行く会とするか。

→AJ 研究会の反省。できるだけテーマ設定を広めにした方がよいか。

2.主要な関心をどこにおくか?

→政策へのインプットか、ネットワーキングか、アカデミックか・・

…会をどこまでひらくか?

 

【取り組むテーマについての議論】

・AJ は押しつけ型のマインドセットが根底にある。必要なのは、各アクターが、現 場で、日本のアクターを含む多様な国際アクターとどう調整して、存在感を高め ていくかを考えること。日本のアクターが国際アクターレベルでやれるようにす るにはどうしたらよいかを検討すべき。内向きな AJ ではなく、世界に向けた(開かれた)AJ として位置づけていく。

・10 年以上前の議論や実践と比較すると、PKO 方面は大きく変わった。「日本の国際平和協力に残る制約や課題は何か」という問いより、別のところに目を向ける のがよい。新しい取り組みについて考える。

 

・具体的な新領域として、海賊対処(海自・海保)を考えていく。

 

・国連 PKO などの自衛隊の既存の活動だけではなく、新しい取り組み、自衛隊のさ らなる活用策を検討する。自衛隊がどこまでやれるのか、諸外国の事例を念頭に 置きながら検討する。エボラ感染症や海賊対策なども含める。

 

・2015 年度エボラの過程では軍の役割(米英豪など)が注目された。そういうものを検討すべき。感染症対策における日赤などとの連携も視野に入れながら、自衛隊の新しい役割についても議論する。

 

・PKO 参加五原則の見直しを国際潮流の観点から検討する。

 

・警察をどうすれば国際平和協力に引き込めるか。文民についても国連 PKO にどうすればもっと参加してもらえるようにできるかを検討する。

・災害救援において、複合災害とテロの話、つまり軍が関わる余地のある事例を考 えておくとよい。この課題についてシミュレーションをやる。

・邦人救出について検討する。2013 年と 2016 年の南スーダンでの事案の教訓がど ういうふうにいかされてきたのか、文民側が自衛隊に対してどのような期待を抱 いているか、など。南スーダンでの危機を想定し、シミュレーションを通じて予防策を検証する。

・政府関係機関が、どこまで教訓を分析しているかはなんともいえない。教訓分析 よりも次のことを考える、という文化がある。もう一点、省庁間共同で教訓分析 はできない(分析結果の共有も困難)。色々な視点から見た教訓分析はできていない。本研究会で実施すべき領域の一つ(マルチアクターによる教訓分析)。

・米軍では、軍のみのクローズドで教訓分析をやるということはありえない。しかし、日本では政府関係者が内部情報の教訓を外部に提供することはできないので、 むしろ危機が起こる前になにかできたのではないかという視点(予防のため)の 議論をすべき。危機管理の観点から、海外において AJ で何ができるのかを検討す る。

→架空のシナリオ(あるいは 2018 年の南スーダン)を使い、予防のために何 ができるのかという議論ができる。

・自分が総理だったらどういう風に行動するか、という視点で考えるとよい。南ス ーダンの IDP を保護するというテーマと、日本国内選挙という制約を考えてシナ リオを検討する。例えば、南スーダンで自衛官が犠牲になると、離島防衛・南西 諸島防衛が揺らぐ。南スーダンの事案に踏み込んで行けないという判断を総理がするだろう。

・南スーダンの例は、NGO としても教訓を学んでいきたい。日本政府間アクターで の連携のあり様(AJ 研究会の特徴)と、日本政府以外のアクターと連携する場合 のものとは分けて考えて、それぞれ考えて行かなければならない。また、「日本人」 の対象もどこまでにするのかも課題になっている。

 

・南スーダンにおける邦人退避(救出)を、どこまで想定、どこまで準備していたのかも非常に興味ある。

・NGO の安全対策は、外部(自衛隊含む)を当てにする準備と言うことは大前提としてない。危機発生時の手順は決まっているので、粛々と手順通りに執りおこなう。自前で職員の安全をぎりぎり守れる範囲で活動するのが鉄則。

・自衛隊が「駆け付け警護」でどこまでやれるのか、というだけの関心しかない。 しかし平和安保法制の範囲はそこまでではない。アメリカに red team という考え方がある。相手の視点にたって、考える。日本の法制ベースで考えるのではなく、相手だったらどうかという基準でやっていくというのはできるかもしれない。南スーダンのシナリオを検討する際に、南スーダン側の視点で検討するのがこの 研究会の特性を生かしたやり方だろう。 研究会の特性についての議論

・研究者は研究、実務は現場。そういう 2 つ(theory and practice)をやりつつ、 両者をあわせていくのがよい。DDR 本(英語)を出版された Desmond Molloy 氏 (日本財団ミャンマー在住)の翻訳や平和安保法制で発信されている東京外国語大学の伊勢崎賢治先生をお招きして話をお聞きして、またコメントを貰って、そこから探っていくというのはどうか。

・豪州軍が民軍連携のガイドブックを出した。このような取り組みに類似する活動 をしてはどうか(例えば、このガイドブックの翻訳)。

・プラットフォームとして、共有財産として公開していくと、アピールにもなるし、 外部の方からのインプットも期待できるのではないか。原則クローズドとし招待 オンリーでマスコミを呼ぶこともあり得る。

→HP を通じた情報共有、定期的な公 開シンポジウムの実施をしていく。

・研究者と実務家のざっくばらんな対話が、この研究会にとって非常に重要。研究者と実務家の自由な討議という性格は保持する。

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